「……そういえばねー」あたしは足元を見つめながら思い出す。「夏に、藍さんっていうアンドロイドに出会ったよ。」
「それ初耳。」ノアは瞼を伏せて緩やかに笑う。「話し、聞かせて。」
思えば、あの出会いはとても、感謝すべきことだった。
藍さんが居なければあたしは今、こうして落ち着いて、ノアと話をしていられなかったかもしれない。
藍さんが教えてくれたこと。
「……藍さんはね、すごい素敵な人だった。」
「へえ。」
「あたし等のクラスの担任と、今日ノアが居た噴水んとこで出会ったって。」
「うん。」
「かくかくしかじかあって、あたしとも知り合ったんだけど。これがまあ、スーさん…あ、あたし等の担任のことなんだけど、スーさんが藍さんにベタ惚れなわけよ。」
「そうなんだ。」笑いながらノアは相槌を打つ。
「しかもイマドキ本とかCDの貸し借りしてんだよ。いつの時代だよって思ったね。思ったってか言ったんだけど。」
「ミャーコらしい。」
「うっさい。んで、あたしも2人が気になるからいろいろ首突っ込んじゃって。」
「世話好きっていうかお節介だよね。」
「皆まで言うな。」
「ごめんネ。」
「まあいいけど……。」
ホントにあたしは世話好きの物好きのお節介だなと思う。
余計なまでに首を突っ込むから、結局、こうなってしまう。
夏に、藍さんを助けてあげられなかったように、今も。
ノアを助けてあげることも、記憶を残してあげることも、何もできないわけだし。
「……続きは?」ノアが先を促す。
「……webで。」あたしが言うと、ノアは「めんどくさ。」と言って笑った。


