会いたいのはあたしだけじゃないだろう。
きっと春人だって会いたい。
未来だって会いたいに決まっている。
連絡を入れてまだ到着してない、春人の両親も会いたいはずだ。
それなのに、限られた時間で会うのが、あたしで、いいのかな。
「……行ってください、先輩」
不意に聞こえた声。
ノアに似ている。でも違う。
春人の声だ。
あたしは春人へと顔を向けた。
ぶつかった瞳は、決意の色を映していた。
「……え。」
「だから、会いに行ってくださいって言ったんです!」
「……でも、春人だって、会いたいでしょ…」
「会いたいですよ!当たり前じゃないですか!」
「…………」
「でも先輩に行ってほしいんです!会ってノアと話してきてください!」
「…………」
「俺もノアが好きですよ!母さんも父さんもノアが大好きです!でも先輩はもっと大好きなはずです!」
「…………っ」
「ノアもきっと、先輩に会いたいと思ってます!いつも一緒に居た俺が言うんですから間違いないです!」
「…………っ」
「そんで、先輩は、今気づいた気持ちを、ノアに言ってあげてください!」
「…………っ」
「ノアにちゃんと、先輩の気持ち伝えてあげてくださいよ!」
「……春人…」
やめろ、泣きそうだから。


