泉はあたしを横目でとらえた。
たぶん知っている。泉はここで、機能停止した藍さんを見たはずだ。
それにあたしが関わっていたことも、何かの事情で知っているかもしれない。
結局あの時、あたしは何も出来なくて、そして今回もきっと、何もできない。
「……ひとつ、家族愛はもちろん、春人」泉は春人を見た。「桜井家だ」
それもまた、夏にあった一件からだろうか。
もっと前からかもしれない。
春人も、その親御さんも、ノアが大好きだったから。
春人は黙ってうつむいた。泣くまいと頑張っているに違いない。
それでも肩は震えていた。
「ふたつ、友愛……これは未来ちゃんや、クラスメイトかもね」
「…あたしも、ですか……」
未来は眉根を寄せて答えた。
春人のクラスメイトはみんないい子ばかりだったから、きっとノアも、気づかない内にクラスメイトと居ることが楽しくなっていたのかもしれない。
だから今日、球技大会に参加して見たかったんだと思う。
未来も、気づけばいつも、一緒に居たし。
「……それから」泉は天井を仰ぐ。「最後」
恋愛感情。
泉はゆっくりとこちらを向いた。
こちら。
あたしの方を。
「――……これは、確実にお前だよ」
ミヤコ。
泉は少し、困ったように笑った。


