後輩たちの前で何を言ってるんだあたしはと思う。
先輩とか後輩とか特に考えてはいないけど、それは上下関係の話であって、“先”という名のついた称号の下である以上、見本にはならなきゃいけないと思ってる。
この現状は、その真逆だって自分でもわかっているさ。
上履きで後輩の頭ぶっ叩く先輩がどこに居るよ。
ここに居るよ。
でもあたしは言いたいこと言う。
否、言わなきゃどうにもならないって考えてる。
黙ってて何がわかる。
自分は今こう思ってて、あなたはどう思ってこうしているのか。
言わなきゃわかんないでしょ。そんなこと。
だから言ってくれって言ってんの。
何も教えてくれないまま、突然避け始めるってなしだと思う。
あたしはそういうのが嫌いだって、春人ならわかってんでしょ。
って、いうのに。
「……あ、予鈴」
当の春人は、あたしの言動も行動も完全無視で、HRを知らせる予鈴に顔を上げた。
コイツ。
「じゃあね、センパイ。」
「じゃあね、じゃなくて…」
「……あ、違う」
「は?」
「……センパイじゃなくて、スリッパさん」
クスッと、笑うような声が聞こえた。


