「……遊ぶって、何するの。」
「それはまあ、街をぶらぶらするでもいいし、ゲームするでもいいし。」
「……ミャーコと?」
「いや、春人とか未来さんとかも呼んで。」
「……いいの?」
「いいよ。当たり前じゃん。」
あたしがそう答えると、ノアは顔を前方へと向けた。
それからマフラーに口元を隠すと、小さな声で「…ありがとう。」と、言った。
どーも、じゃなかった。
ありがとう、だった。
ノアが空を見上げる。
あたしもつられて空を見上げた。
夕暮れが過ぎ、そろそろ群青色に染まる空の色。
冬の空は、とても澄んでいる。
「……明日」ノアが口を開く。「晴れるかな。」
「晴れるでしょ。」あたしは答えた。「天気予報は晴れだった。」
冬の澄んだ空の下を、ノアと一緒に歩いてみたい。
みんなで歩いて、無駄な会話して、笑ってみるのもいいかもしれない。
そんな日があってもいいと思う。
そんな日を、明日にしよう。
「……あ、っていうか、未来さんと春人、まだノアのこと探してるわ。」
「…………。」
「連絡入れなきゃ。あと明日のことも。」
「…………。」
「そんでいい加減寒いし帰らないと。」
「…………。」
「……ノア?」
――――とんっ。


