「……うん」あたしは言う。「楽しかったよ。」
「そか。」ノアは足元を見る。「…やっぱりやりたかったかな。」
さすがに笑った。
あたしが笑っていると、ノアがまた、不機嫌そうな表情を浮かべた。
「……笑うな。」
「いや、ごめん、おもしろかった…あはは。」
「……何したの、球技大会。」
「……んー、バスケとかバレーとか、ドッジもあったしサッカーもあった。」
「いろいろやったんだ。」
「あたし今回強制的にチーム退場させられてスケットに回された。」
「強すぎるから?」
「うるさい黙れ。」
「ははっ。」
他愛もない会話だった。
何から何まで、普通だった。
ノアがアンドロイドに見えなかった。
だって笑うんだ。
あたしの前で笑ってるんだ。ノアが。
なんで笑ってくれるようになったんだろう。
なんであたしのことを嫌いだって言わなくなったんだろう。
いろいろと聞きたいことはあるけど。
まあ、今日じゃなくてもいいか、って思った。
「……じゃあ、明日また晴れたらさ、遊ぶ?」
今日、球技大会参加できなかったから。
あたしがそう言うと、ノアは驚いたように(たぶんノアを知らない人にはわからない程度の変化)こちらを振り向いた。


