未来さんが言ってた好きとか嫌いとかの法則はわかんない。
あたしにはさっぱり当てはまらない。
でももしかしたら。
もしかしたらあたしは、未来さんが言う好きとは違う好きのサインが、あるのかもしれない。
よくわかんないけど。
わかんないけど、これだけはわかる。
ノアが笑ってくれたら、あったかくなる。
今までぜんっぜん笑ってくれなかったからかもしれない。
理由はよくわからない。
でも、あったかい。
そんなことを考えているあたしの今の脳内は、女子力急上昇中かもね。
「……あのさ、ノア。」
あたしのことまだ、嫌いだよね。
と、言おうとしたけど。
「……今日、球技大会やりたかった?」
他愛もない会話に変えた。
嫌いかなんて、答えはわかりきってるから、あえて聞きたくもなかった。んだと思う。
ノアの視線は風に吹かれる枯葉を追っていた。
「んー…別に。」
「……そう。」
「…でもちょっと楽しそうだなとは、思った。」
素直に“やりたかった”って言えよ。
その遠回し感がお前らしすぎて笑ってしまうよ。


