あたしは足元の枯葉を見下ろした。
「……それは、あたしに言っても解決しないこと?」
「……うん。」
「じゃ、言わなくていいや。」
「……うん。」
「またいつか、その考えがまとまったら話して。」
「……またいつか、ね。」
ノアが瞼を閉じた。
あたしはその横顔を見つめた。
ホント、春人とそっくりなんだけど、でもやっぱり、違うなあと思う。
ノアは、ノアなんだよなあ、とか。
冷たい風が吹き抜ける。
あたしも目を閉じた。
後ろの噴水から水の落ちる音が響く。
人々の話し声とか、風の音とか、枯葉が地面を走って行く音とか。
心地いい空間。
「……ミャーコ?」
隣からノアがあたしを呼んだ。
瞼を持ち上げて、隣を見る。
ノアと目が合った。
「……寝てるのかと思った。」
ノアがまた、微かに笑う。
北風が頬を撫でる。あたしはノアから目を逸らした。
今のはちょっと反則だろう。
とか、思った。


