いやまあほら嫌いって言われるよりいいじゃない。
今まで嫌いとしか言われなかったからね。
だからやっぱりちょっとでも笑ってくれるとうれしいかなみたいな。
そういうことだから。
あ、っていうか。
「それよりも、ノアのこと探してたんだからね。」
「え、探してたの。」
「まあ黙って保健室から消えられたらみんな心配するって言うか。」
「…………。」
「桜井家にも戻ってないから、春人と未来さんも一緒に探してたんだよ。」
「……ごめん。」
「別にいいけどさ。どうせノアのことだから、またなんか考えてんだろうと思ったし。」
「なにそれ。」
「考えてるんじゃないの。」
考えても解決しないようなことを。
あたしがそういうと、ノアはマフラーに顔をうずめた。
まぶたを少し下ろして、うなずく。
「……考えてた。」
「そっか。」
「ホント、考えても無駄なこと。」
「何考えてたの?」
尋ねると、ノアは首を微かに右へと倒した。
「言わない。」
「なにそれ言えないこと?」
「言ったら、あんたがまたうるさそうだから。」
つまり、そういうことか。
また自分がアンドロイドだから云々とか、そういう。


