「……ノアだ。」
こんなところに居たのかコイツホント寒そうだな。
っていうか寒そうだな。
噴水の近くって冬場は寒いわけだけど、ノアはそういう寒さとか暑さっていうのを感じないアンドロイドなので関係ないらしい。
平然とそこに座っている。
パーカーを羽織ってるけど確実に薄着だ。
まるであの春の日みたいだと思った。
あたしが今取った行動も、あの春の日みたいだけど。
自分が巻いてたマフラーをとって、ノアの頭に載せるとか言う、行動。
「……お前寒そうすぎなんだけど。」
ノアが顔を上げる。
眼鏡をかけたレンズ越し、相変わらずの冷たい瞳で、あたしを捉えた。
「……別に寒くないし。」
「見てるこっちが寒いから。」
あたしが言うと、ノアは頭から首にずり落ちたマフラーに手をかける。
それをくるりと巻いて、もう一度あたしを見上げた。
「これでいい?」
「もっとちゃんと巻きなよ。」
「あんたホントめんどくさい。」
「うっさい。」
あたしがマフラーを掴んでぐるりと巻くと、ノアの口元が綺麗に隠れてしまった。
なんかツボってしまって笑うと、ノアはマフラーに指をかけてずらし、ムッとしたような口調で「なに笑ってんの。」と言った。
たぶんあたしぐらいしか、ムッとしてるっていうの、わかんないんじゃないかって口調だったけどね。


