「先生、ホントにノア来てたんですよね?」
「え?えぇ、来てたわよ……あら、居ないの?」
手嶋先生が不思議そうな表情を浮かべて奥のベッドに向かった。
それを聞いて一際デカイ声を上げたのが春人だ。
「えぇ!?ノア居ないんですか!?」
「うん、居なかった。」
「えぇ……なんで帰っちゃったんだろ…」
「えっていうか今日来るって話だったの。」
「はい……。あ、キョウちゃん先輩には言ってなかったんですけど、今日球技大会だからその方がいいかなってノアと……」
春人がしゅんと肩を落とす。
何も言わずにノアが帰ってしまったことに少なからずショックを受けているようだ。
それもそのはずで、あの夏の件から春人とノアはなかなかに双子っぽい仲良し(赤の他人から見たら全然そう見えないけど)だったから。
やっと家族になれたと思っていたのに、また前みたいに何も言わず~な展開になって、春人が落ち込むのもそう無理はない話かと。
あたしもちょっとビビったし。
「……んー…まあ、ホラ!ノアクンにも何か用事があったんだよきっと!」
未来さんがベッド脇の椅子に腰かけて言う。
春人は「……そうなんですかね…」と落ち込んだ状態のまま答える。
用事ってなんだって話だが。基本春人の身代わりが本職であるノアの違う用事ってなんだって話なんだが。
たぶん。
たぶんだけど。
アイツまた、余計なこと考えてんだ。絶対。


