「それさあ、好きなんじゃないの?」


すかっ。

あたしの手からボールが転がって行く。

バスケットボールを床と近い距離でどれだけ連続でバウンドさせられるかゲームをひとりでやっていたというのに。未来さんのせいで。

100以上は行ってたんだぞ。くそう。

しかし元凶である未来さんはそんなあたしを見てにやりと笑った。


「あーキョウちゃんが動揺してるー★やばーい超ウケるー★」

「うるさい黙れ。」

「うふふやっぱ好きなんでしょそうなんでしょもーキョウちゃんったらホント鈍感なんだから★」

「コイツどうしてくれよう。」


あたしはボールが遠くへ行く手前で足に引っかけて手繰り寄せ、それを手に持って未来さんに向かって投げつけようとした。

そしたら未来さんが「きゃーこわーい」とか棒読みで言いながら頭を隠したのでなんていうかもうどうにでもなればいいと思うよ。


現在学校は全学年で球技大会中である。

3年とかマジ受験シーズンなのにいいのか。ボールで遊んでていいのか。

という心配も無用なほどに3年生は絶賛球技大会をお楽しみなうである。なう。

一応うちの学校は進学校なんだけどこういう行事は抜かりなくあるから結構好評だ。勉強ばかりじゃ肩がこるしね。飽きるしね。いいことだと思うよ。

あたしもあたしでこういう行事は嫌いじゃないので最初は楽しんでたんだけど、なんかあたしが居るチームは是が非でも勝ってしまうからっつって何故かあたしだけ抜けさせられた。はぶられた。解せぬ。

「朝倉お前は強すぎるけんいろんなチームのスケットな」とスーさんに言われたから更に解せぬ。その眼鏡ボールで打ち砕いてやろうか。

というわけで現在スケット呼ばれ待ちのキョウちゃんである。ヒマです。未来さんに絡まれて大変困っています。誰か助けてください。


あ、そして未来さんと何を話していたかというと、まあこの間のアレですよね。お母さんのこととかノアのこととかですね。