家の前には、うちの車が停まっていた。
その運転席のドアに寄り掛かって、泉が居た。
走ってくるあたしとノアを見つけると、「やーっときたかー遅い」とにんまり笑って手招きした。
「やっときたってなに、もしかして待ってたの?」とあたしが尋ねると、「当然っしょー」とクソ兄貴はうなずいた。
それからノアへと顔を向け、「いつもうちの妹が迷惑ばっかかけてごめんねー」とか言ってから、「ありがとな」と、笑った。
ノアは行かないと言うので、あたしはひとりで助手席に乗った。
後部座席では、お父さんとお母さんが何やら話している。
笑っているから、きっと楽しい話なんだろう。
あたしがそう考えていると、運転席から不意に、泉は。
「……やっと泣いたみたいだな、ミヤコ」
……なんだコイツ、気づいてたのか。
それも全部。
あまりにもムカつき、あまりにも気恥ずかしかったので、あたしは車が赤信号で止まった直後に蹴りを入れてやった。
さすがに車の中では避けられなかったのか、泉は素直に蹴りを受けた。
あたしは目の赤さをどうにか隠せないかと思った。
お墓の前に立ったら、お母さんが心配しそうだなと思ったから。
けれどその考えは1分もしない内に改められる。
そういえばお母さんは、あたしの泣き顔を見て、バカみたいに笑う人だった。


