涙がとめどなく溢れる。
鞄に染みを作って行く。
それでもあたしは泣き止まなかった。
今までずっと、我慢していた何かが。
一気に溢れてくるようで。
本当は辛かった。
ずっとずっと、暗闇だった。
暗闇の中であたしは、ひとりでずっとさまよっていた。
きっと誰にも見つけてもらえないと思っていた。
きっと誰にも届かないと思っていた。
そうやって、殻に閉じこもっているのはあたしだった。
誰にも見つからないようにしていたのはあたしだった。
誰にも届かない場所に居たのはあたしだった。
逃げていたのはあたしだった。
見たくない現実を見るのが怖くて。
認めてしまえば壊れてしまいそうで。
ずっとずっと、そうやって逃げていた。
きっと誰かに捕まえてほしかった。
逃げ回るあたしの手を取って、光の方へと連れて行ってほしかった。
迷わないように、手を握って。
あの雨の日の、傘みたいに。
「――ありがとう、ノア」
あたしの願いを叶えてくれた、アンドロイドはぎこちなく笑った。


