その手が手綱のようだった。
怖いことなんて、何もなかったのに。
「生きてる頃のお母さんと、もっと、話しておけばよかった……っ」
「……うん」
「あたし…あたしは…まだ話したいことが……っ」
「…………」
「…お母さんにしてあげたいことも…たくさん…あったのに……っ」
「…………」
「なんで…我慢なんかして……何も言ってくれなかったの…っ」
「…………」
「ひとりで苦しんでたなんて…ホントに…ホントにもう……っ」
「…………」
「…気づいてあげられなくて…ごめんね……」
「…………」
「気づいてあげられなくて……っ」
「…………」
後悔ばかりが押し寄せた。
どうして、なんで、そればかり。
だけど今のあたしには必要だった。
死ぬほど後悔したかった。
ノアの手が、あたしの頭を優しく撫でる。
「……平気なんて、よく言えたよね。」
全然平気じゃないくせに。
ノアの言葉に、あたしは何度もうなずいた。


