もうわかっていた。
とっくの昔にわかっていた。
お母さんはもういない。
あたしの知らないところで、手の届かない場所に行ってしまった。
手を伸ばしても届かない。
きっと一生届かない。
あたしのお母さんはもう、居ないんだと。
「……――受け止めなきゃいけないって、思ったんだもん…」
鞄に顔を押し付けて、あたしは震える声で言った。
「…お母さんは、あたしたちのことを思って、アンドロイドを作ってくれたんだから…」
「……うん。」
「……それは絶対、否定しちゃいけないと思った…」
「……うん。」
「…お母さんがアンドロイドだって、あたしは構わない」
「……うん。」
「…ちゃんと全部受け止めるから」
「……うん。」
「……でも、でもさ……」
「…………。」
「――……もっといっぱい、話しておけばよかった…っ」
ノアの手を、握り締めた。
上手く握れなくて、震える手。
ノアはちゃんと、握り返してくれた。


