春人と同じ声なのに、なんだか違う。
急ぎ足で駆け回っていたあたしは、その声に自然と落ち着きを取り戻す。
今のノアの声は、冷たい中にも、穏やかさがあった。
「…ねえミャーコ、ホントの答えはわかんなくていいから。正直に答えてみて。」
「…………。うん…」
「お墓参り、どうして断ったの。」
「……嫌だったから。」
「行きたくなかった?」
「……うん。」
「でもみんなと遊ぶのも断ったのは、なんで?」
「…………。お墓参りに、行かなきゃって思ったから。」
ノアの静かで、穏やかな声に、あたしは次第に答えを見つけてさまよい始める。
混乱ばかりだった頭の中は、ゆるやかに動き始める。
わかってはいけないと、黄色信号が点滅していた。
あたしはそのランプを、消そうと必死だった。
「……きっともう、ミャーコはわかってるはずだよ。」
力の抜けて行くあたしの左手を、ノアは掬った。
そのままやんわり、握る。
「…本当のお母さんが、もう居ないってこと。」
「…………。」
「わかってるけど、認めたくない。」
「…………っ」
「認めてしまったら、自分が泣いてしまいそうで。」
「…………っ」
「怖かったんでしょ、ミャーコ」
黄色信号が、静かに消えた。


