きっと考えても答えなんて出ない。
あたしの頭は、その答えを出すことに拒絶反応を示している。
ような気がする。
わかってはいけない、頭の隅っこで黄色信号が点滅していた。
「わかんない」あたしは答えた。「たぶん気まぐれ。」
バサバサッ!
ベランダに鳩が飛んできて、手すりにとまった。
あたしはその鳩を見て、なんとなく、夏に出会ったあの女性を思い出した。
「……そっか。」
ノアの小さなつぶやきが聞こえる。
「ミャーコは、まだ逃げてるんだ。」
あたしは机を叩いた。
バンッ!という激しい音が鳴り響き、鳩が慌てて飛んでいく。
ばさばさと騒がしい羽根の音が遠ざかる。
「……ねえ、この間から何。逃げてるってなにから?」
「わかんないの?」
「わかるわけないでしょ。ノアは何も教えてくれないじゃん。」
「じゃあ、俺が教えたところで、あんたは素直に認めんの。」
「言ってみなきゃわかんない。」
「わかるよ。」ノアは言い切った。「今のあんたは認めない。」
もう一度机を叩いた。
机に叩きつけられる、自分の左手がじりじりと痛い。


