ノアはドアを閉めてから、あたしの方へと足を向けた。
夕暮れの茜色がノアの色素の薄い髪の毛に反射して、キラキラと眩しい。
こちらへ歩み寄ってきたノアを、あたしは見上げる。
ノアを見上げることはほとんどないから、少し新鮮な視界だった。
「……なに、あたしのこと探してたの?」
「いや、別に。」
まあそうですよね。
「……ただ、ミャーコのクラスメイトとすれ違った時、あんたが居なかったから。」
「それで来たと。」
ノアはあたしの斜め前の机に軽く腰掛け、窓の外を見やった。
先輩の机だというのになんの躊躇もなく座るノアはさすがである。
机の上に後ろ手をついて、ノアは言う。
「みんなと遊ばないの。」
あたしは再び、鞄に頭を乗せた。
「……遊びたいんだけど。」
「けど?」
「……迷ってて。」
「何に?」とは、言わなかった。
ノアは何も言わずに、夕暮れの空を見上げている。
最近あまり話していなかったから、だろうか、ちょっと気まずい。
あたしは一度口を閉じて、ノアも見ているだろう空を、見た。
「……お母さんの、お墓参りに行くって。」
ぼそり、打ち明ける。


