あたしは少し考えてから、「…最悪ではないけど、最高でもない。」と答えた。
テストが終わってから未来さんにも尋ねられて、『どうせキョウちゃんのことだから余裕だったかもだけどねー』と言われてあたしは口ごもった。
いつもなら余裕(というのはおこがましいけど)なんだろうけど、今回はそうでもなく。
テストが難しかったわけではなくて、単にあたしの意識がまったく別の場所に飛んで行ってしまっていたからである。
どうしても、ノアの言葉が脳内を反響して、うるさい。
「そう…でもま、そんなときもあるわよねー」お母さんはにんまり笑った。
あんまりあってもらっちゃ困る。
あーもうホント、ノアが余計なことしてくれた。
これはもう強制的にテストへ意識を向けた方がいいかもしれない。
じゃあやっぱり勉強か。勉強したほうがいいか。
どちらにしろ今はもくもくと問題を解いていたい。
数学やってたい。
化学でもいいや。
物理でもいい。
だが国語、お前はダメだ。
もう誰がどう思ったとか読解はしたくない。
今そういうこと考えるのは地雷な気がしてならない
黙々とやっていたいのだ。
数字を追って今は、何も考えずに。
「ただいまー」
あたしがソファの上であぐらをかいて、そんなことを考えていた頃。
玄関の方から、声が響いてきた。
あたしは驚いて時計を見る。
午後7時30分。
あまりにも早い、我が父上のお帰りだった。


