未来さんはあたしの手をグイッと離して、仰天した顔でこちらを向いた。
「も!もしかして春人クン、し、知らなかったとか、言わないわよね…!?」
「……言う。言わせて。」
「あああああああごめんなさいごめんなさいキョウちゃんごめんホントにごめんーーッ!!」
あたしの目の前で両手を合わせ、若干涙目になりながら未来さんは頭を下げてきた。
なんていうか、うん、全然大丈夫だからホント。
むしろあの踊り場であたしに引かなかった未来さんに感謝してるくらいだから。
でもなんともそれを言う気力がわかず、あたしは苦笑ともなんともいえない口元で、「…うん」とうなずいた。
「……え、ちょっと、待ってください先輩……どういう、ことですか…?」
いまだ何も知らない春人が、テーブルの向こうから身を乗り出すようにしてあたしを見つめた。
お母さんはドアの前でどうしていいかわからないようで、おろおろとあたしに視線を投げている。
あーもういいや。
諦めよう。
「……あのさ、春人。」
「……はい」
「ウチのお母さんね、アンドロイドなの。」
「…………。え」
「いろいろあってさ。あーでもホントなんの問題もないから。ほら、お母さんあんな元気だし、言われなきゃわかんないくらいウチのお母さんでしょ。だから」
「何言ってるんですか……」
「えーっとだから」
「先輩の、本当のお母さんはどうなったんですか!?」
聞くのかそれ。
聞いて大丈夫なのかお前は。
そう思ったけど、はぐらかしてもきっといつかバレるだろうと思った。
今みたいに、きっと。


