ハッとした。
しまった、と思った。
しかし時すでに、遅し。
「……あれ…」春人は何が何だかわからないような様子で、口を開いた。「そういえば今、ノアも一緒に、居るよね…?」
春人がノアの方を向く。
ノアもあたしと同じように、「やべぇ」と言いたげな顔であたしに視線を送っていた。
あたしの隣に座っていた未来は、最初こそ「どうしたの?」と言っていたけれど、状況を呑みこむと「あ゛!」と大きな声を上げた。
お母さんはお盆を持ったまま「なあに?」と首をかしげている。
今一番問題なアナタが「なあに?」じゃないっすよマジで。
「……え、っと…キョウちゃん先輩…?」
春人は状況を理解したいようで、あたしへと視線を投げた。
あたしはもう、この際ノアのことは言ってしまった方がいいと思ったので、春人を見返した。
「……あーっと…春人。あのね、お母さん、ノアのこと知ってんの。」
「……え、い、いつからですか!?」
「つい最近。かくかくしかじかあってだな。」
「嘘!?そうなの!?」
…と、横から声を上げたのは未来さん。
そうか、そういえば未来さんこのことは知らなかったんだっけ。
あああああなんだもう頭がこんがらがって来たぞ。
落ち着け、落ち着くんだミヤコ。
まず春人は何も知らない。
ノアをお母さんが知ってるってこともお母さんのことも知らない。
未来さんは、お母さんのことは知ってるけどノアを(以下略)は知らない。
よし、こうだな。
「……えーっと、うん。だからもうノアのことは隠さなくていいよ。」
「そうよ~知ってるのよー?だから、これからはいつでも2人でうちに遊びに来ていいからね!」
のんきに言っちゃってるお母さんったらマジ……お母さんだわ。


