あたしは部屋の中をぐるりと見回した。
デスクやら棚やら、ほとんどが書類や本などで埋め尽くされている。
本当に誰が見ても“研究室”とわかるような場所だった。
「…地震が起きたら即死しそうな部屋だろ」
あたしの目の前のソファに座り、足を組みながら泉はにんまりと笑う。
普段通りのムカつく笑みだ。
あたしがいつもの調子なら、真っ先に蹴りが出ている場面だろう。
絶対避けられるんだけど。
「……即死しそうなこの部屋に、泉はいつから居たの。」
「今年の春から」
「……ノアと知り合ったのも?」
「そうなるね」
「……あたしより先に知ってたんだ、ノアのこと。」
「……一応、製作にも関わってたからな」
「泉も作ったんだ、ノア。」
「少しだけど」
「……だからあんなにポンコツなんだ。」
「ちょーっと何言ってるかわかんないかなーミヤコちゃーん」
にっこり笑った泉は、けれどその笑みは徐々に消えて、
「……ノアは初の充電式だったから、手こずってたんだ」
少しだけ瞼を伏せて、組んだ脚の上に置いた、自分の手を見つめた。
「…この話は、ノアから聞いたよな」
「……うん。」
「じゃあ、母さんが旧式で…つまりノアより前に作られてたことも」
「……わかってる。」
認めたくはないけれど、すでに理解できてしまっている頭では、もうどうしようもない。


