充電終わったらキスしよう






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あたしは泣きもしないし喚きもしなかった。

うちに来たノアを、倒れたお母さんのところに案内することも、お母さんがアンドロイドだという説明も、難なくやった。

きっと顔にも出ていない。どんな感情も。

助けに来てくれたノアも、もしかしたら呆れているかもしれない。

ノアも感情が出ないから、わからないけれど。


「…………。」


ノアはお母さんの側にしゃがみこむと、さっきまであたしが握っていた右手を取って、両手で包み込んだ。


「……冷たいね。」

「…完全に充電切れる音がしたから。」

「さっきまでは動いてたんでしょ?」

「うん、普通に。」


あたしはヤケに落ち着いていた。

落ち着いていた、というより、何も考えていないと言った方が正しいか。

なんだろう、何も考える気になれない。

普段から別段、何か考えているわけでもないけど、今のこの感じは、いつもと違う。


「……充電切れかけから、完全停止までが早いな。」とノアは静かにつぶやいた。

「……早い?」とあたしは尋ねる。


ノアはお母さんの手をそっと元の位置に戻し、立ち上がる。


「さっきっていうのはどれくらい前?」

「……ノアに電話する、少し前。」

「じゃあ、やっぱり早い。」

「…何か違うの?」

「わかんない。でも、少なくとも俺や弥生さんと同じような充電方法じゃないと思う。」


じゃあ一体なんだっていうんだ。