なんの躊躇もなしに口をついて出た謝罪の言葉。
あたしの様子がいつもと違うのは顔を見なくてもわかったらしい、ノアは抑揚のない、けれど少し怪訝な口調で、『……ミャーコ?』と呼んだ。
『なに、ミャーコ。なんか変。風邪悪化したんじゃないの。』
「……違う、風邪じゃない。そんなんじゃなくて」
『……うん、そんなんじゃなくて?』
「……ノア」
『ん?』
「助けて」
気がつけばあたしは、スピーカーの向こうに居るノアに、手を伸ばしていた。
心の中から、すがるような手を。
めいっぱいに伸ばして。
「……――助けて、ノア」
震える声を絞り出した。
電波の向こう、ノアまで届くようにと。
助けを求める方法が間違っているかもしれない。
模範解答なんてものを、今のあたしは知らなかったから。
これがもしテストだとすれば、あたしが今発した言葉は採点前の解答だ。
正解はノアが、たぶんきっと、教えてくれる。
そうして返ってくる、呼吸音。
あたしの耳に届いた、電波の向こうからの、正解。
『……わかった、助けに行く。』
おめでとう、100点満点。
通話終了の音が聞こえる携帯電話胸に、あたしは膝から崩れ落ちた。


