いや待て和んでる場合じゃない。
あたしが早く良くならなかったらアイツ何がなんでもお見舞い来るとか言ってる。
危ない。ヤツは本気だ。是が非でも来んな。こっち来んな。
まあそんなに心配しなくてもあたしは刻々と復活の道へと軌道を変えているところだけれどねって大袈裟だな。
そんなわけで携帯を閉じる。
返信などしない。してしまった暁には春人が焦って電話してくるに決まっている。「キョウちゃん先輩なに起きてるんですか寝てくださいよ!!」とか言って電話かけてくるに決まっている。
その言葉、風邪引いてる時のお前にそっくりそのままぶん投げ返してやりたいキョウちゃん先輩ですよ。
と言っているところに部屋のドアがノックされた。
携帯をベッド脇に放り投げてドアの方へと顔を向けると、母上がお盆を片手にドアを開けているところだった。
「よいしょっとー…。はい、おかゆ持ってきたよ」
「あざます。」
「あっさり塩味にしてきたよ。あ、梅干しも持ってきたからね」
「至れり尽くせりで感無量です。」
「何言ってんのあんたは。娘の風邪の看病するのはお母さんの役目よ」
「今日の母上超光ってる。」
「無駄口叩けるんなら、自分で食べられるでしょ」
「え、なに、食べさせてくれる予定だったんです?」
「あら、それでもいいのよ?」
「だが断る。」
言いながら素早く起き上がる。


