親バカを心の底から満喫しているらしい我が母上は置いておくとして、あたしは布団の中から時計へと視線を投げる。
時刻は夜中の10時くらいを指していた。
「もうこんな時間なのか。」
「そうよー。あんたよく寝てるみたいだったからね、起こさなかったんだけど」
お母さんは言いながら、あたしの前髪を上げて額を触る。
風邪を引くとデコをまあよく触られること。
禿げたらどうしようとか考えてしまうね。あたしだけだね。黙ろうね。
「……結構下がったんじゃないかしら」
「いい加減下がってもらわないと困る。」
「あんたは熱があろうがなかろうが、そんなに関係なさそうだけどね」
ごもっともである。
「おなか空かない?大丈夫?」
「あー…空いてきた。」
「なんか食べるね?おかゆ作ってきてあげようか?」
すきっ腹にポカリやら薬やらを投下することにそろそろ限界を感じてきたので、あたしはお母さんの申し出にうなずいてみせた。
何か食べようと思えるくらいになったということは、復活もすぐそこというわけだ。
ずっと寝てるのも飽きてきたからね、ちょっと動き回ったりしたいよね。
とか思いつつ布団から頭を出して息をつくと、視界の端に明かりの点滅する携帯を発見した。
どうやらメールが届いているようだ。京さんの携帯にしては珍しく仕事してるじゃないか。
いやこの携帯は仕事したくても出来ない可哀想な携帯なんだった。ごめんあたしのせいだった。


