充電終わったらキスしよう





「38度までは下がってた。」

「まだまだ微妙なとこね。まあでも下がって来たならよかったわ」


デコから手を離し、お母さんはあたしの枕元に置かれた薬とポカリの残量を確認する。

ポカリがなくなっていることに気付くと、空になったボトルを手に取った。


「まー…あんたよく飲むこと。あとで新しいの持ってくるね」

「お願いしゃっす。」

「あ、薬飲む前になんか食べる?おかゆ作ってきてあげようか?」

「んにゃ、まだいいっす。食ったら吐く。」

「そう?おなか減ってきたら言いなさいよ、作ってあげるから」

「あざます。」

「じゃあ、お母さん下に居るから。何かあったら呼びなさいね」

「あーい。」


あたしが布団に潜り込むと、お母さんはポカリの空ボトルを持って部屋を出て行った。

この2日間、母上は常にあんな感じだ。

優しい。優しすぎて怖いわ。

あたしが風邪引くとか滅多にないから、ちょっといやかなり心配しているらしいのだ。

昨日まであたしの意識はほぼ朦朧としていたようなもので、お母さんはどうやら付きっ切りで看病してくれていたらしく。

今日とか寝てるのかも不明だ。

あんま心配しなくてもあたしは平気なんだけどなーとか昨日まで死にかけてた人間が言うのもアレがアレでアレな感じだが。

でもこれでお母さんまでぶっ倒れられたら本末転倒というか、なんというか。

まあその時は兄貴がどうにかするだろうと思うけど。

あ、ちなみにこの2日間あのクソ兄貴には会ってません。インフルうつすと仕事に影響があるとかで会ってません。

喜ばしいかぎりです。