春人にはあたしがインフルで学校休んでるとか伝えてない。

伝えると必ずうちに来るからだ。

来るなと言っても来そうだから最初から言わないでおいたのだが、あたしが2日も学校を休むとなるとさすがにヤツも気づくだろう。

気づいたら確実にうちにやってくるだろうと思われる。

自分が一番インフルかかりやすいとわかっていながらやってくるのだ、春人なら。

いやね、春人も春人で気を付けてはいるんだよ。

予防接種も毎年行ってるんだけどね、あまりの虚弱体質に予防接種でインフルかかりそうになるからねヤツは。

ありえないよね。どんだけだよって話ですよねホント。

呆れて犬も食わねーよ、間違った、呆れてものも言えねーよ。

どんな間違いだよ。


まあとにかくそんなわけで、あたしは2日家でゴロゴロ引きこもっているわけだ。

実際はゴロゴロできないくらい死んでたけどね。

インフル辛ぇーわ。超辛ぇーわ。

熱とかもう下がる気配すら見せなかったからね。

ぐんぐん上がってくし。39度行ったし。あこれ死んだわと思ったし。

ということを言えるようになったのも熱が38度まで下がってきたからである。

よく生きてたもんだと思うよ自分。誰か褒めろ、褒め称えろ。


――コンコン


ベッドでゴロゴロ布団にくるまりつつそんなことをグダグダと考えていた時、部屋のドアが申し訳程度にノックされた。

ガチャっと小さく開いたドアの隙間から、見慣れた我が母上の顔が覗いた。

目が合うと、母う…めんどくさいな、お母さんはドアを大きく開けて部屋に入ってきた。


「どう?熱下がったね?」


そう尋ねながら、お母さんはあたしのデコに手を当てる。