38度5分。

体温計に表示された温度を見て、愕然とした。

まあこれが春人の計ったものだとしたら納得も行くだろう。

ヤツはよくこれくらいに熱を上げてしまう特技を持ってるから「またお前か」状態だ。

しかし今回は違う。

何故なら、この温度を表示したのはあたしの体温だったからだ。

もう一度言おう。


この体温はあたしが計ったものなのだ。



『キョウちゃんがインフル!?』


数日前にかかってきた電話で、未来さんがそう驚愕していたのをよく覚えている。

あたしでさえ驚愕したのだから未来さんが驚愕しないわけがない。

まさかのキョウちゃんインフルエンザですよ。

「そろそろインフルエンザの予防接種に行かなきゃねー」と母上がおっしゃっていた翌日の出来事でしたね。

信じられませんね。

母上が言った「そろそろインフル以下略」のセリフが華麗なるフラグ建築一級士並みのフラグだったと思うんだよあたしは。

それを華麗に回収してしまうあたしもあたしだよホントにもうフラグ回収選手権とかあったら間違いなく1位取りそうで怖いんだけどそういう選手権ってないんです?


『なんでまたインフルとかかかってんのキョウちゃんってばレアすぎてウケる』

「レア過ぎると思うなら心配しろよ。」

『あ、インフルにかかっても通常運転なんだねキョウちゃん。もっと弱っちゃえばいいと思うよ☆』

「黙らっしゃい。」

『ってかどこでもらってきたのインフルー』

「この間の文化祭じゃないかなと予想。」