唇を噛み締めて廊下を突き進む。
どこに落ちているだろうか。
どこに……。
「じゃあさー、手分けして探した方が早くない?」
突然背後から聞こえてきた未来さんの声に、あたしは思わず立ち止まった。
振り返ってみると、教室からみんながわらわらと出てきていた。
しかもみんなスーさんなどスルーである。
「廊下と教室とー、職員室もアリ?」
「駐車場もアリじゃね?」
「階段とかー」
「っていうか朝っていつだよ」
「スーさんが家に居た時の朝ならクッソ面倒だぞ」
「もう片っ端から探しに行った方がいいかなあ」
「んじゃ俺等駐車場で」
「あたし等は廊下ー」
「じゃあ職員室突入組あんた等ね」
「俺等だけ死亡フラグ立ってないか」
「あとあたしたち学校付近もちょっと見てみる」
「なかったらスーさん家行くべ」
てきぱきとグループ分けしていくうちのクラスメイトたち。
誰が好きとか誰が嫌いとか、うちのクラスにはないからだ。
そんな生徒たちに、我らが担任は呆然と、「お前等…」と口を開く。
「お前等もしかして…探してくれんのか…?」
みんな一斉に、スーさんを見下ろした。


