そんなみんなの声援に背を向けて、スーさんは教室を出て行こうとする。
そこでふと思い立ったように自分のポケットを触って、「あ!!」といきなり大声を上げて立ち止まった。
ピタッと止まるみんなの声援。
イヤーな予感しか湧いてこないあたし。
教室の開け放たれたドアの前、ぎこちなーく振り返るスーさんの表情が、それを物語っていた。
「……指輪、落とした」
さすがに蹴り飛ばした。
「何やってんだお前はぁああッ!!」(※京さんのセリフです)
「……ちょ、朝倉の蹴り…ハンパねぇ…」
「どこで落としたんだどこで!!」
「…朝は、あったはずなんやけど……」
「じゃあ学校か学校で落としたのか!!」
「……たぶん、そうやと……」
「OKわかった、探しに行く。」
それだけ言って、あたしはいまだにぶっ倒れたまま喋っているスーさんを飛び越えて廊下に出る。
「人を跨ぐな人を!」とか言いながら起き上がるスーさんなど知ったことではない。
指輪を落としたお前が悪い。
もう夕方なのに。
間に合うかもわからないのに。
見つかるかもわからないのに。
自分で首突っ込んだことだけど、あたしはやっぱり、お節介が過ぎる。


