充電終わったらキスしよう






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どこかで誰かが今日息絶えようとも、世界は変わらず廻るのだ。


がやがやと騒がしい教室内。

いつもと変わらない風景。

あたしは教室の自席に座って、いつものように補習を受け、プリントを5分で終わらせ、窓の外を見ている。

あたしもまた、いつもと変わらない風景のひとつだ。


「…キョウちゃん今日ぼーっとしてるね」


そしていつもと変わらず、藤原or萩原くんの席に座っている未来さん。

今日も今日とてプリントを持ってきて、あたしのプリントの答えを丸写ししている。

自分で解け。


「まあキョウちゃんがぼーっとしてるのはいつものことだけどー」

「失敬な。」

「でもなんかさー今日のぼーっとはいつものぼーっとじゃない気がする」


いつもとは少し違うところを発見、未来さんだ。

たまーにこうやって鋭い観察力を発揮するので厄介な敵である。

けどあたしも、こうやって気づいて欲しいからいつもと違うぼーっとをしていたのかもしれない。

情けないけど、たぶんそうだ。


「……あのさ、未来さん。」

「なあに、キョウちゃん」


窓の外が、オレンジ色に染まり始める。

夕暮れが近い。


「……やっぱりなんでもない。」


そう言ったあたしに、未来さんは「そっか」とだけ返事した。