「…ですから、アンドロイドに何か違う感情が生まれると、内部に搭載された制御システムが作動するようになっている、みたいでして」
「制御システム……?」
「はい。簡単に言いますと、アンドロイドを意図的に故障させ、停止させる機能です」
故障させ、停止させる機能。
あたしの脳内で、同じ言葉が繰り返される。
故障させ、停止させる機能。
「……この感情が、思いのほか、とても大きくなってしまったので」
「…………。」
「わたしの停止も、同じ速度で進んでいたようですね」
「…………。」
「きっと明日の夕方には、壊れてしまっているはずです」
「…………。」
「あ、停止した後は、専門の方が回収に来てくださるようなので、ご安心なさってくださいね!」
言葉が出ない。
藍さんの明るい声が耳に刺さる。
言葉が出ない。
「……わたし、とても幸せでした」
ずっとうつむいていたあたしに、藍さんは言う。
「長谷川さんご夫婦と生活して、鈴木さんと出会えて、京ちゃんとお話できて…」
もう、数十時間しか生きていられないのに、藍さんはとても、
「……――わたし、本当に、幸せ者でした」
うれしそうな笑顔を浮かべていた。


