「…京ちゃん」藍さんの口調は穏やかだ。
「…アンドロイドは、ロボットなのです」
「……それは、そうかもですけど。」
「最初からインプットされているもの、すべて合わせて、わたしは完成しているのですね」
……あぁ、それは、つまり。
「新しい感情が芽生えてしまったわたしは、故障していることになるのです」
新しい感情。
藍さんに、新しく芽生えてしまった感情。
――恋心。
「……それって、いいことなんじゃないですかっ」
あたしにしては珍しく、焦った声色だった。
藍さんは焦りの色を隠せないあたしを見て、また少し、困った。
「良くは、ないのです」
「どうして……」
「アンドロイドは人間の感情…人間そのものになってしまうことが、いけない機械なのです」
「見た目とか全部、人間そのものなのに、ですか…」
「感情は危険なのです。アンドロイドに、憎しみの感情はまずインプットされない。それがどうしてか、おわかりになりますよね…」
「……人を、殺すことがあるからですか。」
藍さんはうなずく。
「アンドロイドはロボットです。人間より強い力を持っています。だから感情を持つと、それがどう変化して憎しみになるかわからないのです」
そんな屁理屈。


