そこまで考えて、あたしは「あ」と声を上げる。
それから振り向きざまに教卓に居るスーさんへと尋ねた。
「そういえば、この間の指輪買ってあげたんですか。」
どんがらがっしゃん!
今度こそ後ろ向きにぶっ倒れたスーさんはどうやら学習能力が甘かったらしい。
しかも今回は起き上がりもせず後頭部を押さえてごろごろしている。あたしはどこからツッコめば。
「……な、何故それを……」
ようやく起き上がったスーさんは、しかし後頭部を押さえたまま下を向いている。
本気で打ち付けたようだ。カワイソウニ。
「あー、あの日あたしはショッピングモールに居たんですよ。で、たまたま見かけて。未来さんも一緒に居ましたけど気づいてないと思います。」
「……もうなんちゅーか…俺はどうしていいかわからない……」
「で、買ってあげたんですか。」
「っちゅーかな!?朝倉はな!?もっと話の流れとかを考えるべきやと思うんよ俺はな!?」
「思い出したら忘れない内に聞いておくのがあたしのモットーでして。さーせん。」
「そんなモットーは捨てろ。もしくは改めろ」
「で、買ってあげたんですか。」
「大事なことなので2回言いましたなのかそうなのか」
「で、買ってあげたんですk」
「買ってねーよ!!」
「…………。うわあ。」
「真顔で“うわあ”とか言うなし!!」
言いたくもなるわ。
そこはさすがのあたしでも「いや買えよ。」とか思ってしまうわ。それくらいのレベルだわ。


