けどまあ長谷川さんがせっかくそう言ってくれているので、ここは遠慮なく「藍さん」と呼ばせていただくことにする。
と言ったら藍さんは、
「さんづけなんてとんでもないです!ぜひ藍ちゃんとか、藍ですとか、もうそんな風に、気軽に呼んでください!」
という風に言ってくださったんだけどさすがに年下のあたしがそう呼ぶのは……。
そこまで考えてふと思った。
「……大変失礼ですけども、藍さんおいくつなんですか。」
「わたしですか?」
「ですです。」
「わたしは今年で21になります!」
7歳差!?
スーさんと約7歳差なんです!?
いいんですか藍さん鈴木のスーさんそろそろ30ですよ下手したら哀愁漂うただのおっさんになりますよいいんですかいいんですかそれで。
……いやあたしが言うことじゃないか。
「えーっと…21歳ということは大学生でいらっしゃいますか。」
「……大学生、ではないのですが…」
藍さんはそこで言葉を濁す。
視線を自分の膝上にある文庫本へと落とし、それからあたしを見てにこりと笑った。
どうやらこの話は藍さん的にあまりしてほしくない話らしい。
あたしはそれ以上問うことはせずに、「そうですか。」とだけ言っておいた。
足元を鳩が横切る。
「……あの、そういえば、京ちゃんはどうしてここにいらしたのですか?」
あたしがその鳩を追って視線を動かしていると、隣から藍さんのそんな質問が飛んできた。


