ただ補習に来ただけなのにどうしてこんな目に遭っているのか。
「朝倉、頼む!」
「…………。」
「絶対このこと黙っちょってくれ…!」
「…………。」
「特に浜田とか!」
「…………。」
「頼む朝倉!」
「……いやまあ別に構いませんけど。」
「本当か…!」
「構いませんけどその代わり、」
「代わり!?」
「その人どちら様なんです?」
あたしが右人差し指を伸ばし、状況を把握できていないもう一人の人物を指し示すと、目の前の我らが担任鈴木のスーさんはピタリと硬直した。
現在あたし等が居るのは学校の裏にある駐車場で、何故そんなところに居るのかというと、説明がめんどくさいので省く。
……というのは冗談で。(実は本気だったとか言えない)
今日は補習がある日だったので、あたしは普通に学校への道を歩いていた。
そこで数人の野郎共に囲まれてる女性を発見し、放っておくのもなんだしと思って救助。
秒殺した野郎共は置いておくとして。
あたしが救助したその女性は、あたしを見るや否や「その制服、この学校のものですよね…?」と小さなメモ用紙を差し出してきた。
書かれていた学校名はまさしくうちの学校で、あたしが「そうですけど。」と答えると、途端に女性の表情がぱぁっと明るくなり、「助けていただいた上にこんなお願いをしてしまうのは大変申し訳ないとわかっているのですが、どうか貴方の学校に、わたしを連れて行ってはもらえませんでしょうか…!」と懇願されたのだ。
まあ断る理由もないのであっさり了承したあたしは、そのまま女性とうちの学校に来たわけだが。
なんとその女性、うちの学校に来た理由が、鈴木のスーさんに用があったから、らしいのだ。