街の景色が流れる。
信号すら引っ掛からない。
ファミレス、どこにあったっけ。
ぼんやりと空を見上げる。
ヘルメット越しの空。群青に染まる空。
『――京ちゃんは、悪くないよ!』
引っ越していく前、池田はあたしに向かって、そう言って笑った。
『わたし、京ちゃんのこと、ずっと大好きだからね!』
そう言って笑った、池田の目じりに涙が浮かんでたことを覚えてる。
池田はイジメのターゲットにされたのだ。
あたしと仲良くなったから。
あたしよりもヒドイ扱いを受けていた。
どうしてあたしより酷かったのか。
それは単に、あたしがあの頃すでに、他の子よりもちょっと強かったから。池田は、そうじゃなかったから。
ただ、それだけの理由だった。
学校の裏で蹴られていた池田を助けたのはあたし。
大人数だったから、あたしだって怪我をした。
そんなの当然の報いだと、あたしは思った。
何も悪くない池田を、巻き込んでしまったのはあたしだ。


