その扉を開けると予想通り泉が居て、洗濯機のスイッチを押していた。
「……えなにお前。洗濯機も回せるようになったの…?」
「ミヤコってばお兄様のことなんだと思ってるんだろうねー心外だよねー」
「ただのムカつくバカかと。」
「否定はしないー」
否定しないところが更にムカつく兄貴である。
「洗濯はまだかかるからー先にもの片付けるのと掃除機やっちゃうー?」
「…………。」
「ミヤコちゃーん?」
「……もの片付ける。」
言ってからランドリーの扉をバタンッ!と閉める。
あたしはリビングへと戻りながら若干イライラしてきているのが否定できないことを認める。
家事をそこそこ手伝ってきたあたしの方に仕切らせろっつーの。
長期間我が家に居なかったクソ兄貴に仕切られてたまるか。
リビングに戻ると、いったん出入り口付近に立ってリビングを見回す。
我が家は別に綺麗好きな家というわけではないので、一般的な散らかり方をしている。
ソファの上に新聞紙とか雑誌とかリモコンとか。
テーブルの上にチラシとかペンとかメモ帳とかお菓子とか調味料とか。
カーペットの上にはあたしの上着とかお母さんのバッグとかお父さんの靴下とか。
とにかくそんな感じで、我が家は普通に散らかっている。
棚の上も中も大惨事なのでその辺も片付けることにしよう。
考えると気が遠くなるので先のことは置いておく。
まずは簡単なソファの上とかから始めるとする。


