これはなんて生き地獄だ。


「今日お母さんとお父さん、結婚式に行ってくるから留守番頼んだわよ!あと、夜になったらお客さんが一緒に来るかもしれないから2人で家の中片付けておいて!じゃあ行ってきます!」


そう言って慌ただしく家から出て行った2人を見送ってから、あたしは玄関でため息をついた。それはもう大きく。


「いいねー結婚式ー俺も行きたいわー」

「お前はさっさと自分の結婚式をしろよ。」

「ミヤコに言われると人生終わった感じするよねー」

「黙れks。」


階段の手すりにもたれかかっていつもの表情でなんか言ってるクソ兄貴などこの際どうでもいい。いや、よくない。

なんせこのクソ兄貴と本日1日家の片づけをしなければならないのだ。

生き地獄というほかなんという。

っていうか役に立つのかコイツ。役に立つのか。

大事なことなので2回…大事なことでもない気がしてきた。


「っていうかなんでお前は今日に限って家に居るんだよっていう。」

「ミヤコが家にひとりぼっちで寂しい思いをしないようにっていうお兄ちゃんの優しい気持ちが伝わらないかなー」

「いえ、まったく。」

「うちの妹の心が冷え切っててお兄ちゃんはとっても悲しいよねー」

「うざいキモイ失せろ。」


兄貴を罵倒する3段活用を言い放ってからあたしはくるりと回れ右をしてリビングへ向かう。

まずは朝食の後片付けだ。