うつむいたままの春人の表情はわからない。
だけど泣くのを我慢してるんだろうなっていうのは、あたしでもわかった。
たどたどしい言葉で、春人は今の気持ちを紡ぐ。
「……ノアが初めてうちに来たとき、俺すっごいうれしかったんです…」
「……うん」
「自分の代わりとか、アンドロイドとか、いろいろ、教えてもらったんですけど…でも、それよりも、家族が増えたって思って…」
「……うん」
「兄弟ができたみたいで、ひとりぼっちじゃなくなったって…思って…」
「……うん」
「でもそう思ってたのって俺だけだったんですかね…ノアもおんなじだったらいいなって思ってたんですけど、違うんですかね…」
「…………」
「俺がひとりぼっちじゃないって思っても、ノアがひとりぼっちだって思ってるなら、俺、そんなのイヤです……」
「…………」
「ノアはアンドロイドなんかじゃないです…」
「…………」
「ノアは、俺の身代わりなんかじゃないんですから…」
「…………」
「ノアは…俺の身代わりじゃなくて、友達で、っていうか親友で、あと、それから、それから……」
春人が顔を上げた。
その頬は、涙で思い切り濡れていた。
「……――それから、俺の家族なんですッ!!」
……――バンッ!!


