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部屋に戻ると、春人は相変わらずうつむいた状態だった。
あたしはため息をついて、ベッドに腰掛けてあぐらをかく。
「…………」
春人は何も言わない。
まだ迷ってるんだろうなあとは思う。
「……あのさ、春人」
「……はい」
「今はいろいろ自分を責めてるのかもしれないけど、そうしてても変わらないよ。」
「……はい…」
「別にうちは泊まってもらっても構わないし、それで春人が何か申し訳なく思うこともない。」
「……ありがとう…ございます…」
「でも」と春人は続ける。
「……でも、俺今、そういうので悩んでるんじゃなくて…」
「……ふむ。」
「……どうやったら、ノアが本当に“家族”として、過ごせるのかなって、考えてたんです…」
やっぱり春人は、春人だ。
「…あの、俺今まで、そういうの考えたことなくて…」
「……うん」
「その間ずっと、ノアがひとりで寂しい思いしてたんだって思ったら、俺……」
「……うん」
「……寂しいなって、思ったんです…」
「……そっか」


