充電終わったらキスしよう





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「……あの、キョウちゃん先輩、どこに行くんですか?」


箱ティッシュを抱えたまま、ようやく落ち着いた春人がそう問いかけてくる。

あたしは慣れた道を歩きながら隣の春人を少しだけ見上げる。目が真っ赤だ。


「えーっと、未来のとこ。」

「……えぇ!?未来先輩のところですか!?」

「うん。居るかわかんないけど、夏は焼けるのが嫌だからとか言ってあんま外に出ないアイツなら居るだろうと思って。」

「え、え、っていうか、あの、どうしてキョウちゃん先輩の家じゃダメだったんですか…?」

「何故ならあのクソ兄貴が居るからだ。」

「え……あ、そっか、ノアのこと秘密にしてるんでしたね……」


そんなことだろうとは思っていたよ我が後輩。

よかった外に出てきてて。よかったホントよかった。

あのままうちに居たら春人がぽろっと暴露してしまいそうで内心ハラハラしていたのだ。


じりじりと肌の焼ける音が聞こえる気がするほどの炎天下。

あたしとて夏が得意な方ではないので、できれば外には出たくはなかったがやむを得ない。

これで未来が留守だったら次会った時ハッ倒してやる。ダメだ死亡フラグ立ててそのまま回収しそうだ。やめておこう。


などと無駄な思考を働かせている間に見えてきた浜田家。

なんだかそれがものすごくオアシスのように見えたあたしはインターホンを連打してしまうという迷惑行為に出てしまった。

しまったあたしとしたことが。