あたしが“残る”宣言をした途端、あたしの服をぎゅぎゅっと掴んでいた春人の手から力が抜けた。
でも手はまだあたしの服に引っ掛かっている。
その手を布団の中に戻してやろうと思って握る。
さっきは吐き気のせいで血の気が引き冷たかった手も、今は逆に熱いほどだ。
まったく。
とか呆れていたら、握っていた春人の手があたしの指に絡んだ。
しまった。
そうは思うけど振りほどけない現状。あたしってヤツは。
「…ほら、ちゃんと枕に頭乗せて」
「……うー…」
「うーじゃないほら。手も布団の中入れないと冷えるでしょ」
「……ヤです…」
「38度もあるクセに何言ってんの」
って自分で言っててヤベェあたしマジ保護者なんじゃねーのとか思ってしまった。
否めない。
しかたない、ここは先生に忠告を。
と思って振り向いたらそこには誰も居ませんでしたエンド。
唖然としてたらガラガラピシャンと保健室のドアが閉まる音が聞こえた。
ちょ、先生それはマジっすか。
いやまあ別に春人の世話は慣れてるからいいんだけど一言言ってくれてもいいのよ先生。
っつーか言えよ。頼むから。


