それを虫の知らせということもできるかもしれない。
と、家についてから思い直した。
「……あれ」
うちの前に誰か居る。
塀にもたれかかった状態で下を向き、つま先はとんとんと地面にリズムを刻んでいる。
今日も今日とてシンプルイズベストな服装だなこの人は。と思ってしまうその人。
「……弥生さん」
数メートル離れたところから名前を呼ぶ。
ピタッと止まるリズム。同時に顔を上げてこちらを向く。
間違いなく弥生さんだった。
「……久しぶりやなあ、キョウちゃん」
塀から背を離しながら、そう言って笑いかける弥生さん。
……この人が、アンドロイド、か。
春人の時同様、やっぱり区別がつかない。
未来だって、弥生さんが実際に充電しているところを見なければ、アンドロイドだなんて信じなかっただろう。
それは、結局よかったのか、悪かったのか。
あたしがそんなことを考えたところで、答えがわかるはずもないけどね。
弥生さんはあたしの方へと僅かに歩み寄り、立ち止まる。
表情は至って穏やか。初めて見た時と変わりはない。ような気がする。
あたしが「……お久しぶりです」ペコリと頭を下げると、弥生さんはまた笑った。


