「……あ、ミャーコだ。」
「いやいやいやいや、え?うん、は?なんであんたがここに居る?しかも私服で眼鏡とか意味不明だ。」
「変装。これだったらわかんないかなと思って。」
「いやわかる。少なくともお前等を見慣れたあたしにはわかる。」
「ミャーコにバレたところで問題ないから別にいいけどね。」
「っていうかなんで居るんだよっていう。」
「ハル、倒れたんでしょ。迎えに来た。」
「わざわざ来なくてもあたしが送ってくっつーの。」
「ん。あと、入れ替わろうと思って。」
「……はあ…?」
なんとも表現しがたいクエスチョンマークつきのため息をついたあたしとは対照的に、ノアは窓枠からひょいと飛び降りる。
ちゃんと靴を脱いでいるところは律儀だ。
ノアはあたしの横を通り過ぎ、カーテンへと向かう。
「もうすぐテストでしょ。授業出てた方がいいと思って。」
「そりゃまあ……重要なところは先生が言うだろうしね。」
「だからわざわざ来たんだよ。」
言いつつ、ノアはカーテンを潜る。
あたしもその後に続いてカーテンの内側へと戻った。
案の定、というべきか、春人は目を丸くしてノアを見上げていた。