未来は怒ったように「だから!」と。


「だから!……今日はありがとうって、言ってんの…」



………………。



「…………。」

「…………。」


「……鳥肌立ちすぎて今なら鳥になれる気がする。」

「死ねキョウコ!!死に晒せッ!!」


後ろ脚でガツンッ!と蹴飛ばされて結局落ちた。

頭から落ちたんだけど咄嗟に受け身を取ったので首が折れずに済んだ。たまに役立つクソ兄貴からのワザ伝授。

あたしは床に座って首の後ろを擦る。ついでに頭をがしがし掻いた。あたしは親父か。

そんなあたしのベッドに一人陣取って、夜中だというのに未来さんは怒りの声を上げる。


「最悪サイアク最悪!!やっぱり言うんじゃなかった!!言ったあたしがバカだったちくしょう!!」

「……いやあの、」

「あーもうキョウちゃんなら絶対そう言うってわかってたのにあたしってヤツはホントになんていうかもうあたしのありがとうを返せ!!」

「あの未来さん、」

「でもやっぱキョウちゃんだねキョウちゃんはキョウちゃんだねキョウちゃんがキョウちゃんで良かったよじゃなきゃ今あたしこんな楽になってない!!」

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「……だからやっぱりありがとう」

「…………。どういたしまして。」


上手いこと素直になれない同士が、たまに素直になろうとすると、こうなるわけなんです。

どうしても。


……まあ、それが心地いいんだけどね。