「じゃあ、つまり弥生さんはその施設で修理されてたってこと?」
「ううん、修理はされてなかった。ただ充電をされてるだけだった」
“充電”。アンドロイドにかかせない、エネルギーを蓄える方法。
未来はその“充電”という言葉を口にして、不意に笑った。自嘲的な笑みだった。
「…って、充電とか言われても、ねえ?バカバカしいでしょ、あたしも思ったもん。あたしのお姉ちゃんはお姉ちゃんで、人間で、充電なんて…って」
「…………」
「でもさ、実際に充電してるお姉ちゃんの姿見たら、なんていうか、こう、スッと、体の中心が冷えていく感じがしたっていうか、さ……」
「…………」
「おかしいでしょ」と未来は笑い混じりに言う。
「今まで普通だったお姉ちゃんが、なんかコードみたいなの巻かれてさ、太陽光浴びさせられるカプセルみたいのに入ってんの。意味わかんないよね、あたしもなんの冗談かと思った」
「…………」
「けど、お母さんが居るの、そこに。そんであたしに言ったの。全部喋ったの。“人間の、本当の弥生はもうこの世にはいないの”ってさ。だから代わりのアンドロイドが居るの、みたいなことをさ」
「…………」
「もうホント意味わかんなくて、っていうかわかっても認めたくなんかないし、ありえないって思ってたらホント頭ン中こんがらがってきて、だから逃げてきたの。あの家に居たら、弥生さんと居たら、あたしホントにおかしくなりそうで」
「だからキョウちゃん、お願いだから泊めて」と、泣きながら言う未来に、あたしは何を言うわけでもなく、ただ「うん」と、それだけ言った。


