「本当なんですか」と、春人はその瞳をあたしに向けたまま言う。
「本当に、キョウちゃん先輩は諦めてるんですか?」
「……なんで」
「だって、最初から諦めてたら、うちには来ないですよね、たぶん…。先輩はそういうのきっぱり割り切って、家に帰ってると思うんです、俺は」
「……ふむ」
「雨に打たれるのとか、落ち込むのとか、なんかそういうのって、たぶん、えーっと……諦めたくないって先輩が思ってるからだと思うんです!」
「……ほお」
「え、あっ、すみませんごめんなさいでしゃばりすぎました…!」
ハッとしたように両手を振り回して謝る春人に、あたしは思わずちょっと笑った。
それから「いいえ、まったく」と返してあげた。
あたしらしくもない。悩むなんて。
あたしらしくもない。諦めるなんて。
未来の大好きな弥生さんは、もうこの世にはいない。
その事実は変えられない。あたしは魔法使いとかじゃないし。っていうか魔法があっても死者を蘇らせるって言うのはムリなんじゃないかと思う。
だったら他の方法だってあるでしょ。
未来が泣かなくていい方法。
これから先を、きちんと見れるようにしてあげられる方法。
それならたぶん、あたしにもできる。はず。
できなかったら、またその時考えるわ。
「……やれるだけ、やってみるか」
ぼそっとつぶやいたあたしの言葉に、2人は同時にうなずいた。


